[学士論文] 大規模行動履歴を用いた行動履歴分析に基づく変更支援手法の評価

小林研B4の藤原さんが学士論文の発表を行いました.

論文題目:大規模行動履歴を用いた行動履歴分析に基づく変更支援手法の評価
論文概要:

ソフトウェアの大規模化に伴い,不具合修正や機能追加と行った保守作業において変更すべき箇所を特定するための労力が増大している.保守作業のコストを軽減するために,開発者に対し次に変更すべき箇所を自動的に推薦する変更支援手法が提案されてきた.特に,開発者の行動履歴に基づく変更支援手法が近年盛んに研究されている.

先行研究における評価実験で用いられた行動履歴は,小規模なソフトウェアの短期間の保守作業から得られたものであり,一人分の行動履歴のデータ量が少ない.そのため過去の行動履歴から開発者の変更支援を行うという,現実的な設定における推薦精度を評価できていない.

本研究では,大規模なソフトウェアの保守作業から得られた行動履歴を用いて,開発者の行動履歴に基づく変更支援手法の有用性を現実的な設定のもとで評価する.また,一人の開発者の過去の行動履歴を用いる場合と,同じプロジェクトの他の開発者の過去の行動履歴を併用する場合で,推薦精度に変化が見られるかに関しても調査を行う.

実験の結果,大規模ソフトウェアの保守作業においても行動履歴を利用した変更支援手法が有効であることが確認できた.また,一人の開発者の行動履歴に加え,他の開発者の過去の行動履歴を合わせて利用することで推薦精度を改善することができることも確かめられた.一方,適用する推薦手法によっては,特定の状況下で推薦精度が低下することが明らかになった.